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甲子園に行けなかった K 君の思い出

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     甲子園の高校野球が始まると時々思い出す事がある。
    私が小学生の頃、
    夏休みになると愛媛の松山へ帰るのが
    唯一の楽しみだった。
    それは3人の、いとこ達と一緒に夏休みを過ごす事だった。
    彼らは何をしても頼もしく、いろんな事を教えてくれた。

     松山城の城山に登ってはセミの取り方、草むらの蛇の捕まえ方、
    海に出かけてはボートの漕ぎ方、立ち泳ぎの仕方、
    島までの遠泳の泳ぎ方まですべて教わった。

    だから黒く日焼けした年下の彼らに、
    (男 兄弟のいなかった私は)すっかり憧れてしまった。


     ある時、年の近いK 君とこんな話をした事がある。
    「照 兄ちゃんの 夢って 何?」(彼は私の事をこう呼んだ)
    『そう…写真を撮るのが好きだから、カメラマンかな? K 君は?』
    「野球選手!S 高校か M 高校に入って甲子園に行きたい。
     そしてプロ野球の選手になりたい。」


     彼は根からの野球少年で、
    よく彼のグローブで一緒にキャッチボールをした。

    何年かして、彼の念願が叶って、
    S 高校に進学し野球部に入部した事を知らされた。
    「照 兄ちゃん!甲子園に行ったら応援に来てよ」って。

     1年目の夏、県代表でS 高校が出場したが、
    彼はまだ
    レギュラーではなく、甲子園に来れなかった。
    「3年までにはレギュラーになるけん」
    叔父さんの話では夜遅くまで 部活一本で頑張り、
    何とかレギュラーになれそうだ、と言うことだった。

    しかし、彼の思いに反して
    23年の春、夏、S 高校は県代表になれず、

       *運命のいたずらか、M 高校が出場したのだ…。
    彼が甲子園に来ることはなかった。
    当然、彼の夢は、ここで大きく挫折してしまった。

     後年、私はコマーシャルフォトカメラマンになり、
    独立し、会社を立ち上げ、
    株式会社創立20周年の写真集を彼に送った時、

    彼から、
    日本酒と一緒にこんな手紙が添えられていた。
    「照 兄ちゃんおめでとう! 夢が叶ったね! 乾杯!」
    数日して叔父さんからの電話で 知った。
    K は、もういけんのよ…、癌になってしもうたけん…」

       *松山の方言
       「kは、もうだめなんだ…、癌になってしまったから…」


    あまりにも突然のことで、涙が止まらなかった…。
    その酒がやたらと辛く感じた事を憶えている。

     結局その後、彼とは一度も会うことがなく、
    闘病生活後 心の友の彼は、
    56 歳の若さで亡くなってしまった。

     プロ野球の選手どころか、甲子園に来ることすらままならず、
    野球少年の彼の夢は何だったのだろう…と。

    テレビの中で高校球児として、
    溌剌と甲子園でプレーをしている彼の姿や、
    真っ黒に日焼けした いとこ達が
    海岸ではしゃいでる光景をカスミがかかっている様に
    ぼんやりと、夢に見る事がある…。

       *あの時に帰りたい…。
    切ないK 君との思い出と、おぼろげな少年の頃の情景である。
       *あと二人のいとこの その後、
        
    K 君の弟は昆虫の研究で名を知られる事に、
        もう1人の彼は幸せな家庭を築き夢を叶えた。

    永井照人。

    * 美香さん コメントありがとう。
    彼の思い出は、いつも笑顔で優しい記憶しかありません。
    確かにいくら彼個人が努力しても、越えられない運命のハードルが
    あることに…。
    1度でいいから、甲子園でプレーさせてあげたかった!
    テレビに映る彼の姿をビデオに残しておきたかった!
    「やったな!K !」って、思い切りハグしたかった!
     残念です。
    newflash * NEWS * 19:09 * comments(1) * trackbacks(0) * -

    コメント

    人生それぞれ大きな夢を持ってる…
    でも〜この話 切な過ぎますね。私の友達にも野球選手を目指した人がいますが
    プロに入るのは ほんの一握りですものね。
    彼がいくら頑張っても、学校が出場できなければ夢がかなうことがないなんて
    ハードルが高すぎますね〜。このような夢が破れた人って多いんでしょうね〜
    Comment by 井上美香 @ 2016/03/28 6:55 AM
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